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Damselflies of Brazil: Non-coenagrionidae families

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著 者 : Frederico A. A. Lencioni
発行所 : All Print Editoria
体 裁 : B5 332pp. line drawings., Hardcover
定 価 : NHBS Price: £120.00 | $187/€143 approx
コード : ISBN 85-98310-56-5

これまでひとつの国について全種のトンボが判るような解説書の出版されている国は限られていて,ブラジルについてもその多様なトンボ相を解明するにはポルトガル語やスペイン語で書かれた数多くの論文を参照する必要があった。そのような中でこの度ブラジル産のトンボを総括的に解説した本が出版されたのでご紹介したい。

これはブラジル産の均翅亜目中,イトトンボ科を除く 9 科の全 153 種を解説したもので,科の検索には翅形と翅脈の図を用いた説明があり,全種について腹端部の拡大図を掲載し,翅形,翅脈,翅の斑紋を図示した種もある。

254 ページまでの本文は Carolyn Brissett が訳した英語で,全種について原記載,タイプ標本の所在地,シノニム,南米およびブラジルでの分布,幼虫記載の有無が記されている。255 ページ以降はポルトガル語による科の解説で(英語の本文中にあるもの),珍しい構成であるが,われわれには好都合である。 全体を南米のトンボの権威者 Rosser W. Garrison (アメリカ)が校閲していて,ブラジル在住のトンボの最高権威者 Angelo B. M. Machado も絶賛している。

ブラジル産の均翅亜目には極端に腹部の長い Pseudostigmatidae ハビロイトトンボ科,扇型に湾曲した四角室と美しく輝いた翅をもつ Polythoridae アメリカミナミカワトンボ科,羽の基部が赤インクで染めたように鮮赤色の Hetaerina アメリカカワトンボ属など,独特の魅力あるグループが多く,図を見ているだけでも興味は尽きない。

井上 清